― 記 録 
平成18年度 日本造園学会関西支部大会
関西支部設立40周年記念大会



開催月日:平成18年10月13日(金)〜10月15日(日)

開催場所:京都
  ◆13日:日本庭園 / 保津峡
  ◆14日・15日:京都大学 農学部総合館 (京都市左京区北白川追分町)


日  程:

<第1日目> 10月13日(金)
見学・研修会
コース1
 13:00〜15:00 「日本庭園 見学・研修会」
コース2
 11:00〜17:45 「歴史的景観としての河川景観〜保津峡開削400周年」

11:00 亀岡市文化資料館 (JR亀岡駅より徒歩7分) 現地集合
11:15 「保津峡の開削と桂川流域史(仮)」 黒川孝宏(亀岡市文化資料館館長)
12:30 保津川下り乗船場へ移動 (徒歩10分程度)
12:50 「保津川下りとそのルートについて」 保津川遊船企業組合
13:30 乗船(船上にて昼食)
16:30 嵐山着
17:45 千光寺大悲閣(角倉了以ゆかりの地)にて現地解散

<第2日目> 10月14日(土) 於 京都大学農学部総合館 W100講義室
公開シンポジウム
11:00〜12:00 基調講演 「京都和風迎賓館庭園について」
 佐野藤右衛門 氏 ((株)植藤造園代表取締役)
13:30〜16:30 パネルディスカッション
テーマ:「古(いにしえ)の京の風土を次代に継承するために」

○コーディネーター:
  森本 幸裕 (京都大学地球環境学堂教授)

○パネラー:
 「風土保全と風致保全に向けた行政的取組みについて」
  木村 裕 (京都市風致保全課課長)

 「千年の都・京都の美しい鴨川づくりについて」
  古賀 俊行 (京都府河川計画室長)

 「京都三山の森林景観の推移と課題について」
  奥 敬一 ((独)森林総合研究所主任研究員)

 「京の風土を活かしてきた庭づくりの技術について」(仮)
  井上 剛宏 ((株)植芳造園代表取締役)

 「五山送り火を支えてきた市民の心意気について」
  長谷川 綉二 ((特)大文字保存会副理事長)
17:30〜19:30  懇親会 於 京大会館(地階レストラン「このえ」)

<第3日目> 10月15日(日) 於 京都大学農学部総合館 講義室
10:00〜12:00 研究・事例発表セッション (午前の部・口頭発表)
12:00〜13:00 幹事会
13:00〜13:30 総会
13:30〜15:00 研究・事例発表セッション (午後の部・口頭発表)
15:00〜16:00 ポスター発表




大会2日目 公開シンポジウム

シンポジウム全体収録PDFファイル

※ 6ページ要約版は、ランドスケープ研究 71巻1号 pp.41-46 (2007.5)に掲載されています。


開会挨拶
森本 幸裕 (日本造園学会関西支部 支部長)


 みなさま、おはようございます。本日は、行楽シーズンの土曜日にもかかわらず、学会の公開シンポジウムにお出いただきありがとうございます。今年は、関西支部設立40周年記念大会ということで節目の年に当たっております。また、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都法)制定40 周年、保津峡開削400 周年でもあります。昨日の見学・研修会は、その保津峡と日本庭園の2つのコースに分かれて実施いたしましたが、このような見学・研修会を通して、われわれは歴史的風土の中に生きているのだということを再認識しました。京都は、歴史的な風土をもつ日本のふるさととも呼ばれ、世界遺産も各地に有しています。このような京都のすばらしい文化や自然の織りなす風景は、単なる歴史のひとコマではなく、幾重にも積み重なっているものです。三山や鴨川、京都盆地の特性のもとに、先人の知恵や工夫、思想、技能が積み重なってきたものであるということを改めて認識した次第です。そして、現状をきちんと分析してマネージメントし、さらに新しく創造していくということが京都の特徴を維持するためには不可欠であると思います。
 今日は造園学会の「ランドスケープの保全と創造」という視点から、「いにしえの京の風土を次代に継承するために」というテーマで、基調講演とパネルディスカッションからなる公開シンポジウムを企画いたしました。基調講演には佐野藤右衛門さんをお招きしております。支部設立40周年にふさわしい企画となりますようみなさまのご協力をお願いいたします。今日は最後までご参加いただき、ともに京の行く末を考えていただければ幸いに存じます。簡単ではございますが、開会の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。





基調講演「京都和風迎賓館庭園について」
佐野 藤右衛門 氏 ((株)植藤造園 代表取締役)


 みなさん、こんにちは。いろいろご紹介いただきましたけれども、私は単なる植木屋でございまして、先生でも何でもございません。今、森本先生の話にありましたように、迎賓館というのはやはり京都を知っていただきませんといけません。昨日、迎賓館へ行かれた方もあると思うのですが、なぜああなったのか、今後どうするのか、午後からいろいろ討論があろうかと思います。
 さて、みなさまのお手もとに私が書いたものがあると思います。何が大事かというと「五感」、これが今の人にはほとんどないんです。ほとんど機械が介入していますので、目の前にあるスイッチだけで欲しい結果を求めてしまう。そこに人間の感情なんて入らない。五感をじゅうぶん働かしてもらうと、すーすっと前に進むわけです。動物的な勘、これをまず今の若い方には特に養っていただきたいと思います。・・・





「風土保全と風致保全に向けた行政的取組みについて」
木村 裕 氏 (京都市風致保全課 課長)


 京都市の風致保全課の木村でございます。本日は造園学会というたいへんレベルの高いところにお呼びいただきありがとうございます。京都市の景観行政の一分野であります風致保全、これは造園学会とも当然関わりがあります。いろいろとご意見を聞ける場面でありますので、喜んでおります。
 私自身は行政マンではあるんですけれども、生まれも育ちも京都の丹波でして、土日は田んぼに出て、あるいは山に行くこともあります。この時期は黒豆を作っていて土日は土を触っている、平日は市役所に行って制度をいじっているという状況です。そんな状況ですので、自分の経験も踏まえながら京都市の風致行政について少しお話しできたらと思っています。よろしくお願いいたします。
 手元に簡単にレジュメをつけておきました。まず京都市の風致保全課が実際に扱っております制度について簡単にご説明したいと思っております。・・・





「千年の都・京都の美しい鴨川づくりについて」
古賀 俊行 氏 (京都府河川計画室 室長)


 皆さん、こんにちは。京都府河川計画室長の古賀と申します。京都市では、今日お話しする鴨川ですとか、その西側にあります天神川、または紙屋川とも言いますけれども、こういった河川の管理をさせていただいております。ご承知のように、京都は鴨川だけでなく、西の方に行くと桂川が、南の方に行くと宇治川がありまして、大きな川に囲まれている土地柄です。今日のテーマは「いにしえの京の風土を次代に継承するために」ですが、風土というのは、自然に対して人間、あるいは人間の生活が継続的に関わってきた中で形成されていくものであると考えております。そういった意味では、河川は地域の風土に対していろんな影響を与えてきている重要な存在じゃないかと思います。その中で、鴨川は京都のまちの中で非常に存在感が大きゅうございます。今日は、この鴨川と京都の風土の関係についての私なりの考えを少しご紹介させていただきたいと思います。・・・





「京都三山の森林景観の推移と課題について」
奥 敬一 氏 (森林総合研究所関西支所 主任研究員)


 森林総合研究所の関西支所におります奥と申します。今日は、京都三山の推移について話をさせていただきます。京都は森林の歴史に関する研究も古くから行われていまして、諸先輩方を前にこういった話を私がするというのも若干気恥ずかしいのですけれども、私なりの視点で京都に来てから考えたこと、見てきたことなどを交えながら、紹介させていただきます。
 最近はインターネットを検索すると、京都を空から見た様子が手に取るように分かるようになっています。青い線が水系で、中心に京都の市街地が広がり、その周りを京都の三山が取り巻くという形がよく分かります。こういったものがすぐ手に入るようになって、我々の風土や風景の見方も変わって来ているのかもしれません。東山の辺り、大文字から銀閣寺の辺りにかけての山と、西側の嵐山近辺の山の2 ヶ所を中心にお話をしたいと思います。・・・





「京の風土を活かしてきた庭づくりの技術について」
井上 剛宏 氏 ((株)植芳造園 代表取締役)


 井上でございます。奥さんにずいぶん詳しくお話をしていただいたので、簡単にと考えています。一所懸命に知恵を絞ってレジュメに10 行ほど書きました。文章を書くというのは苦手でございまして、だいたいここに全部書いてあるとは思いながらも、何か話さないと、と思っています。造園関係でなかなか法整備がなかった中で景観緑三法まで進んできたわけですが、緑というのは、守り、育て、創造していくというのが大変な大事だと思っています。佐野頭領の話を借りますと、例えば家畜には維持管理とは言わない。餌をやって育てていくわけだから飼育管理だと。庭も維持管理というのはありえないと言われるのです。樹木は育っていくのだから、育成管理ということにならないと造園の仕事はできないんだと言われるのです。・・・





「五山送り火を支えてきた市民の心意気について」
長谷川綉二(特定非営利法人大文字保存会 副理事長)


 大文字保存会の長谷川です。今日は先ほどから景観・樹木の問題をお話しがあり、今、井上さんがお話しされましてほっとしているところです。と言いますのは、大文字保存会というところはご存知のように、送り火を数百年来、受け継いできているところです。そして、一番私どもがこれから問題にしていかなければならないのは、数百年続いた歴史をあと何年続けていけるかなということです。先ほど林景?の問題もありましたけれども、アカマツ林が日本全体で特に荒廃してほぼなくなる状態です。われわれが使っているアカマツ林が、今後どういう風になっていくのか、これからの後継者にどういう風に受け継ぐのかということを問題にしているところです。・・・





ディスカッション

森本:5 名の方々から大変興味深いお話をうかがいました。これを受けてのディスカッションということで、私がコーディネーターを務めさせていただきます。
 関西支部40 周年という大事な節目ですので、関西支部として頑張って次の行動の示唆を得られるようなところまで持っていけたらと思います。御協力をよろしくお願いいたします。会場からいくつか質問をいただいております。川についてのご質問が多かったようでございますが、1 つずつ取り上げていくと散漫になるかとも思いますので、私の方で問題を整理させていただきます。まずは川に関連した話、それから山に関連した話、実際に風致等を守り育てていくために一体何が必要なのかという話に、分類しながら話を進めていけたらなと思います。・・・

シンポジウム全体収録PDFファイル





大会3日目 研究・事例発表セッション


口頭発表会場




ポスター発表会場












今年度の関西支部大会